Enjoy Baseball

 

 

 

 改めてこの本を読ませてもらいました。

 指導者、教育者としての素晴らしい信念をおもちだなと思いました。

 

 ちょっと整理して書きたかったので、珍しく項立てしてみました。

 

 

 1.Enjoy Baseballとは?

 2.  森林監督の指導

 3.  野球をすることの価値

 4.  これからの野球

 5.  まとめ

 

 

 

 

 1. Enjoy Baseballとは?

 

これ は ただ 楽しく 野球 を しよ う という こと では なく、 より 高い レベル の 野球 を 楽しも う という 意味 です。 その 高い レベル に 到達 する ため には、 自ら 進ん で 取り組む という 意識 が すごく 大事 で、 そちら の ほう が 最終 的 には 高い ところ に 行ける のでは ない でしょ う か。

森林 貴彦. Thinking Baseball ――慶應義塾高校が目指す”野球を通じて引き出す価値” (p.75). 東洋館出版社. Kindle 版.

 

  特に森林監督は、著書の中で自ら考えるということを繰り返し述べられています。

 

 単純に野球をプレイすることをただ楽しむのではなく

 野球という競技において勝利するために今自分達には何が必要なのかを考えていく

 

 

 

 私はサッカー少年でしたので、野球についてそこまで知識があるわけではありませ 

 んが、サッカーと野球の違いくらいは分かります。

 

 人数が9人、塁があること、道具を使うこと、攻守がはっきりしている

 1球ごとに15秒ほどの間があるということでしょうか。

 

 

 

 とくに1球ごとに15秒ほどの間がある

 これはサッカーと野球の大きな違いです。

 

 

 この15秒間の間に

 いかに思考しながら次のプレイを考えるかが大事とのこと

 

 したがって1球の1球のプレイに意図をもたえることを強調しているそうです。

 

 

 よいプレーに見えても偶然が重なることもよくあるとのこと。

 そういうプレーには「さっきのプレーはなんで上手くいったの?」

 など徹して選手に自分のプレーを分析させることを心掛ける姿は

 「おれについてこい!」という指導者とは対極にいますね。

 

 2. 森林監督の指導

  

 1で書いたように、森林監督の信念の一つとして選手自ら考えてプレイすることを大

 事にしている。

 

 

 特に監督が指導をする上で大切にしていることが

 「任せて、信じ、待ち、許す」である。

 

 高校生だからと子ども扱いせず、選手の成長のために責任をもたせるために「任せ」

 

 体も心も自然と成長していくことを「信じ」

 

 目先の勝利に囚われず、長い目で選手の成長を「待ち」

 

 とはいうものの高校生であるからミスはする。そういうゆとりをもちミスを「許す」

 

 森林監督と真反対の指導は「任せず、信じず、待たず、許さず」です。

 そのような監督の下で仮に甲子園に行けたとしても、選手は何を学べるでしょうか。

 

 

 

 森林監督がすごいのは、甲子園を目指すということが選手たちの通過点と捉えている 

 ところではないでしょうか。

 

 

 高校野球を通して、自分たちの生き方を見つめさせ、よりよい生き方を考えさせる。

 まさに部活動で行うべきことが、慶應義塾高校野球部では行われていることが分かり 

 ました。

 

 

 3. 野球をすることの価値

 

 森林監督は野球をすることには、次の3つの価値があると述べられています。

① 困難を乗り越えた先の成長を経験する価値

 

② 自分で考える楽しさを知る価値

 

③ スポーツマンシップを知る価値

 

 スポーツをしたことがある人から言わせれば、どの競技にもあてはまることではない

 でしょうか。

 

 

 私もそうだと思います。

 ただ、いきなり「あなたのしているスポーツにはどんな価値があると思いますか」

 

 

 

 そう問われて答えられる人はどれだけいるでしょうか。

 

 

 

 指導者として、それをもっているかもっていないかでは、指導の質がかなり違っ

 てくるのではないでしょうか。

 

 話を戻しますが、特に③について語られたことが印象に残りました。

 

 スポーツマンシップとは

相手、 ルール、 審判 を「 尊重」 し、 敬意 を 持っ て 接する。「 勇気」 を 持っ て いろいろ な プレー に 挑戦 し、 強い 相手 に チャレンジ し て いく。 どんな 結果 に なろ う とも、「 覚悟」 を 持っ て、 きちんと それ を 受け入れる。

森林 貴彦. Thinking Baseball ――慶應義塾高校が目指す”野球を通じて引き出す価値” (p.14). 東洋館出版社. Kindle 版. 

 

 と捉えているそうです。

 「清々しさ」

 私の中ではスポーツマンシップとはこのキーワードでしたが

 森林監督のおかげですごく具体的になりました。

 

 それと対極にあるのがサイン盗みや打者が横目でキャッチャーの位置を確認するなど

 のいわゆるカンニングのようなプレーです。

 

 

 バレないようにうまくやる、ズルしてもOK

 

 

 そういうプレーで学ぶことはこのようなことでしょう。

 社会にでたことある人ならそれもありだろうと言われるかもしれませんが、

 勝利にこだわるが故に、そういうことを学ぶことは大切なのでしょうか。

 

 

 しかし、意外にそういうことをやってもいいという学校は少なくないそうです。

 高校野球界が麻痺しているとも言われていました。まさにこれからの高校野球を指導

 する上で大切なことに気付かれていると感じました。

 

 

 4. これからの野球

 

 スポーツは「やる」ものから「見る」ものになっていると言われています。

 特に、野球は小中学生の人口が減ってきているようです。

 

 

 子どもたちが「野球をしてみたい!」

 保護者が「野球をすることで子どもが成長した」

 と思ってもらえるには何が必要か

 

 監督はある選手が高校から大学に進学しエースとして頭角を現したことを例にし

 小学校、 中学校、 高校 は 成長 し て いく 途中 の 段階 に 過ぎ ない と 感じ ます し、 だからこそ、 より 野球 を 好き にさ せ て あげ て、 次 の レベル に 送り出し て あげる べき だ と 強く 感じ ます。 各 段階 で 身 に 付ける べき こと は 当然 あり ます が、 目 の 前 の 試合 に 勝ち さえ すれ ば いい という 価値観 からは 絶対 に 脱却 し なけれ ば いけ ませ ん。

森林 貴彦. Thinking Baseball ――慶應義塾高校が目指す”野球を通じて引き出す価値” (p.158). 東洋館出版社. Kindle 版. 

 

 野球は指導者や保護者のものではなく、子どもが今を楽しみ将来を生きるために必要 

 な力を育むものであるとの長期的な視点をもつことの重要性を言われています。

 

 選手の坊主強制、投手の級数制限など高校野球が選手ファーストに近づくために必要

 なことがやっと公で議論されるようになりました。

 

 日本の甲子園神格化などの価値観が、今回の慶應義塾高校の優勝をもって変わって

 ほしいと願うばかりです。少なくとも、私は今回ブログを書くことでそう思いまし

 た。

 

 5. まとめ

 

 何かと根性論で語られることが多い野球界が大きく変革するのではないかと感じるよ

 うな出来事でした。

 

 何を変えるにも結果が大切ですし、森林監督の信念、指導観、人間性どれをとっても

 学ぶことが多かったです。

 

 変革にはまだまだ時間がかかりそうですが、今回の優勝は大きな一歩になるでしょ

 う。

 

 教育界にも同じように変革がいることが山積みです。その一つ一つが子どものために

 教師のために、議論されるべきことが議論されることを願います。

 

 今あることが本当に必要なことか?批評的にみていくことも今回のことで得た学びで

 す。

 

 正しいことをしている人が正当に評価される世の中になってほしいなとも思います。